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心臓血管外科・小児心臓血管外科



動脈瘤専門外来開設のごあいさつ
心臓血管外科教授 勝間田敬弘

心臓血管外科では、心臓や全身の血管の病気の最新の技術を駆使した手術治療をおこなっております。近年、急速に患者数の増大している疾患の一つに大動脈瘤がございます。

イメージ心臓から打ち出された血液は大動脈という直径約2〜3cmの血管を通って全身の臓器に送られます。この大動脈が風船のように瘤状に膨らんだ状態を真性大動脈瘤と呼びます。
一方、単純に内腔が膨らむかわりに大動脈の壁に亀裂が入り、この亀裂から血液が壁の中に侵入し、あたかも樹木の年輪を裂くように大動脈壁を二層に裂いた状態を大動脈解離(解離性大動脈瘤)と呼びます。いずれも大動脈が外見上太く“瘤”のように膨らむため“大動脈瘤”とよばれます。
この病気が惹き起こす問題は単純であり、以下3 点に集約されます。

(1) 大動脈瘤破裂
(2) しゃがれ声、ものが飲み込みにくい、などの周辺臓器の圧迫症状
(3) 解離による大動脈の枝の閉塞症状

特に大動脈瘤破裂はこの病気の死因の最多をしめる最も激烈な顛末です。風船のように膨れ上がった血管がついには耐えきれなくなり破裂するのです。完全に破裂してしまった場合は、殆どの患者さまは病院に辿り着く前に出血で絶命します。大動脈瘤は平素はまったくの無症状であることが大半であり、症状が出たときには短時間で絶命する非常に激しい性格の病気です。
また、残念ながらひとたび“瘤”となった大動脈は薬の内服で小さくすることは出来ません。したがって治療は、瘤を完全に除去し、決して破裂することのない人工血管(あるいはステントグラフト)で置き換える手術が必要となります。

この大動脈瘤は私が 2000 年来、過去4年間に手術治療をさせていただきました外来患者さまの約47%を占め、この数字は、この疾患に対して一貫して積極的治療を実践してまいりました結果であると自認いたしております。
また、治療させていただきました患者さまの背景も多岐にわたっております。 80 歳以上の超高齢の方、高齢のみを理由に手術不適応とされていた方、複数臓器に病気を抱えているために手術不能とされていた方、動脈瘤が広範囲に進展したために技術上の理由から手術されずに放置されていた方など、従来は動脈瘤の破裂を坐して待つ状況であった患者さまも、手術技術の向上と周術期の管理方法の向上により、治療−社会復帰が十分可能となりつつあります。
全世界的にも高齢化社会の到来に伴い、動脈の老化によって発生する動脈瘤の患者数は、確実に増大しております。

この需要の増大に対応するために、このたび 2004 年 8 月から心臓血管外科に動脈瘤専門外来を開設いたしました。この外来では、

(1) 動脈拡張症と表現される瘤径の小さい初期動脈瘤の定期的外来観察と、この患者さま達を出来るだけ手術治療が不要な状態で維持していただくための投薬治療生活指導
(2) 中等度に拡張した動脈瘤の破裂率の予測、手術時期の判断
(3) 絶対的な手術適応のある患者さまの手術リスクの科学的判定とそれにもとづいた治療方法の決定
(4) 手術後の患者さまの定期的診察と新たな動脈瘤病変が出来ていないかの精査 (動脈瘤ドック)
(5) 他の医療機関を御受診中の患者さまに対するセカンドオピニオンの提供

などを心臓血管外科、循環器内科、放射線科の集学的な診療体制のもとに行っております。私は、過去 4 年間に約 300 例の大動脈瘤の手術治療を手がけました。関東、四国、九州からの齢90を超えたハイリスクな患者さまの手術目的の御紹介も賜り、何れも元気に地元に歩いてお帰りいただきました。
この専門外来以外にも、当院では、救急医療部、循環器内科、放射線科、麻酔科、心臓血管外科が24時間体制でこの病気の対応に待機しております。これらの諸部門の迅速な連携もあり、通常死亡率の高い大動脈瘤破裂や急性大動脈解離にたいして高い救命率を維持しております。

動脈瘤専門外来の開設とともに、さらなる診療の質の向上が実現いたしておりますので、お気軽に御受診くださいますようお勧め申し上げます。


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