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肝臓病の基礎知識

肝臓の病気について

肝炎ウイルスについて

肝炎ウイルスは、肝臓で特異的に増殖します。特に、B型肝炎ウイルスやC型肝炎ウイルスは、持続的に肝臓に住み着いて、慢性肝炎や肝硬変、さらには肝がんの原因になります。しかし、肝臓は沈黙の臓器と呼ばれるように、B型肝炎でもC型肝炎でも、ほとんど自覚症状がありません。このため、気が付かないうちに病気が進んでいる危険があります。
B型肝炎やC型肝炎と言われた方は、必ず医療機関を受診し、正確な診断をもとに適切な治療を受けたり、定期的検査により経過観察をする必要があります。

B型慢性肝炎について

B型慢性肝炎の多くは、HBV感染者からの性感染が原因と考えられます。その他、まれに母子感染者も存在します。B型慢性肝炎とは、HBV感染後、急性肝炎を発症しそのままウイルスの持続的な感染が続いている状態です。
時に肝炎が持続し、慢性肝炎から肝硬変、さらに肝がんに移行する場合があります。B型慢性肝炎の治療として、内服薬の核酸アナログ製剤やインターフェロンが用いられます。
B型肝炎では、肝炎が持続する場合はもちろん、たとえ肝機能が正常でも、既に肝硬変になっている場合や、肝がんが出現する場合もあります。  
このため、血液検査のみならず、超音波やCT検査など画像検査を定期的に受ける必要があります。

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C型慢性肝炎について

C型慢性肝炎の大部分は、主に輸血などによるC型肝炎ウイルスの感染です。
急性肝炎の症状の後に、高率に慢性化します(60~70%)。また、偶然に健康診断や献血により、感染が判明する場合もあります。
C型肝炎ウイルスの遺伝子型やウイルス量によって、治癒率は異なるものの、最近の治療法の進歩により最も難治性の例でも、約90%以上で治癒が得られるようになりました。しかし、一方で、C型肝炎の感染に気付いていない人や、そのまま放置している人も多く存在しています。
C型慢性肝炎では、自覚症状がほとんどないまま、徐々に病変が進行し、多くは感染から数十年で肝硬変や肝がんに進行する危険があります。
肝がんは、繊維化の進行した例に、より出現しやすいとされていますが、年齢が高くになるにつれても、発がん頻度は増加します。
B型肝炎と同様、C型肝炎でも、定期的な血液検査や画像検査が必要です。

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肝臓病の検査について

肝臓病の血液検査について

 Alb:血清アルブミン (参考基準値  3.8~5.8 g/dl )
  肝臓で作られる主なたんぱく質で、肝臓の機能が落ちると低下します。
肝臓の働き具合(合成能)を反映し、肝予備力の指標です。
   
 T.Bil:血清ビリルビン (参考基準値  0.40.9mg/dl )
  古くなった赤血球が壊されて生じる黄色い色素で、肝臓で処理されて胆汁中に排泄されます。胆汁うっ滞があったり肝細胞の機能が落ちると、血液中の量が増えて、皮膚が黄色くなります。黄疸の指標です。
   
 AST(GOT)、ALT(GPT):血清トランスアミナーゼ (参考基準値  10-35 IU/l )
  肝細胞に多く含まれる酵素で、肝細胞が壊れると血液中に流れ出し上昇します。肝障害の程度(肝細胞のつぶれ具合)を反映し、肝炎の活動性の指標です。
   
 γ-GTP:血清ガンマ・グルタミルトランスペプチダーゼ  (参考基準値  10-50 IU/l )
  胆管細胞の障害や胆汁うっ滞で上昇し、特にアルコールや薬剤による肝障害でも高くなります。
   
 ALP:アルカリフォスファターゼ  (参考基準値  100-350IU/l )
 

肝臓や腎臓、骨などに存在する酵素で、胆汁うっ滞などで上昇します。
骨病変でも上昇することがあります。

   

 PLT:血小板 (参考基準値  15-35万/ul )

 

血液が固まる際に関与する成分で、肝臓病が進行して繊維が増えると低下してきます。肝臓の硬さを反映し、繊維化の指標です。

   

 AFP :エーエフピー (参考基準値  <10ng/ml )
 PIVKA-II:ピブカツー (参考基準値  <40mAU/ml )

 

肝がんの可能性を絞り込むための腫瘍マーカーで、肝がんがあると上昇してきます。AFPは、肝炎や、肝がん以外のがんでも上昇する場合があります。
また、PIVKA-IIは、ビタミンKの不足やビタミンKの働きを抑える薬(ワーファリンなど)でも上昇するので注意が必要です。
これらが正常範囲内でも、肝がんがないとは断定できません。

肝臓病の画像検査について

 US:超音波検査

 

超音波により、肝臓を調べる方法で、副作用もなく容易に行える検査です。
肝がんの有無などを調べる有効な方法で、定期的に行う必要があります。

腸管ガスや肥満などで観察しにくい場合もあります。
   

 CT:腹部CT検査

 

X線によって、肝臓の横断面を映しだす方法です。
超音波検査で映しだせない部分を調べたり、より客観的に評価したりする際の検査です。

肝がんの有無を調べるには、出来る限り造影剤を用いて、肝臓内の血液の流れを観察する造影検査が必要です。
   
 MRI:腹部MRI検査
 

強い磁力をかけて肝臓のいろんな断面を映しだすことが出来る検査法です。
肝がんの有無を調べるには、造影剤を用いる方がより正確な情報が得られます。

   
 内視鏡検査
 

胃カメラを用いて、食道や胃に静脈瘤がないかどうかを調べる検査です。
胃炎や胃潰瘍など、他の病気も同時に調べることが出来ます。

肝臓病の組織検査について

 肝生検

 

肝臓の組織を、細い針で取り、詳しく調べる検査で、入院にて行います。
肝臓のつぶれ具合(肝炎の程度)や、進行具合(繊維化の程度)を評価します。
また、肝臓のなかに出来た腫瘍が、良性か悪性(がん)かを調べる際にも行います。

詳しくは以下のWebサイトもご覧ください。
独立行政法人 国立国際医療研究センター 肝炎情報センター



肝炎ウイルスの感染予防のために

A型肝炎、B型肝炎は経口感染予防が必要

A型肝炎は井戸水などの生水による集団感染や、貝類、特に生カキでよくみられます。
E型肝炎は野生動物やブタに多く、肉を生焼けの状態で食べることにより感染します。

 予防法
 
・生ものは食べない。十分に加熱されたものを食べましょう。
 ・生水は飲まない。特に海外旅行では注意が必要です。

B型肝炎、C型肝炎は血液感染予防が必要

B型肝炎、C型肝炎は主に血液感染で起こります。以前は検査体制が整備されておらず、輸血や血液製剤によって感染してしまうことがありましたが、現在ではそのような感染ではなく、違法の覚醒剤や麻薬などの注射器の使い回し、入れ墨などによる感染が問題になっています。

 予防法
 ・献血や輸血は避けましょう。
 ・切り傷、皮膚炎、鼻血などはできるだけ感染者が自分で手当てをしましょう。
  他の人が手当てをするときは、使い捨ての手袋などを使って血液にじかに触れない
  ようにしましょう。
 ・歯ブラシ、かみそり、爪切り、ピアスなど血液が付く可能性のあるものをほかの人
  と共有しない。
 ・乳幼児との接触は問題ありませんが、食べ物の口移しは避けましょう。
 ・B型肝炎ウイルスには感染予防ワクチンがあります。B型肝炎ウイルスのキャリア
  であると診断された人は、配偶者などにB型肝炎ワクチンの接種をするよう話をし
  ておくことをおすすめします。

 

一般的な生活では感染を起こす恐れはほとんどありません。
偏見や誤解のないように正しい知識と理解が大切です。

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