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急性肝炎

1. 疫学と自然経過

急性肝炎とは、急性のびまん性肝疾患で、黄疸、食欲不振、嘔気嘔吐,全身倦怠感、発熱などの症状を呈します。肝炎ウイルスが原因のことが多く、その予後は一般に良好ですが、約1-2%の患者は劇症化し、一度劇症化すると高率に死亡します。
1995年以後のわが国の急性肝炎の起因ウイルス別発症頻度は、A型,B型,nonABC型がそれぞれ約30%、C型が約10%で推移しています。D型急性肝炎は、HBVと共存した形でしかウイルスが存在しえないこと、感染者そのものが少ないことから、日本では極めて稀と考えられる。E型肝炎は、2000年頃から流行が問題となっています。
感染経路は、A,E型は経口感染であり汚染された水、食物を介して感染します。B,C,D,型は経血液感染であり、輸血や汚染血液が付着した針による刺入などにより感染が成立します。覚せい剤、刺青、男性のピアスなどの行為は、B型、C型肝炎の感染のハイリスクとみなされます。わが国では1990年頃までは輸血によるB型、C型急性肝炎が見られましたが、それ以後は、日赤の血液スクリーニング体制が強化され、現在では輸血後急性肝炎は根絶状態に近くなっています。

2. 臨床所見、症状

1 前駆症状(発熱、咽頭痛、頭痛などの感冒様症状)
2 黄疸、褐色尿
3 食欲不振
4 全身倦怠感
5 嘔気、嘔吐
6 腹痛
7 その他(関節痛、発疹)

急性肝炎の前駆症状は、いわゆる感冒様症状(発熱、咽頭痛、頭痛)であり、病初期はしばしば感冒と診断され感冒薬を処方されている例が多いです。

3. 検査所見、診断

広範に肝細胞障害が生じていることを示すALT(GPT),AST(GOT)の著明な上昇、ビリルビン値の上昇、プロトロンビン時間が延長します。必要であれば肝炎ウイルスの有無、抗核抗体などを調べます。

4.治療、予後

原因により様々な転帰をたどります。ウイルス性の急性肝炎はB型、C型肝炎をのぞき、一過性に経過し、安静加療で治癒しやすい疾患です。A型肝炎、E型肝炎は、一過性に経過し慢性化することはありません。B型肝炎は新生児、小児期に感染すると高率に慢性化し、成人例での感染すると原則一過性感染で経過しますが、近年慢性化する例が増えています。急性肝炎が重症化、劇症化して死亡する確率は、B型とNon-ABC型では1-2%、C型とA型では0.5%以下と考えられており、重症化、劇症化への移行が疑われた場合には、速やかに専門の病院に紹介すべきです。急性肝炎の生命予後は、重症化、劇症化しなければ極めて良好で、A型、B型肝炎は終生免疫が成立し再感染することはありませんが、C型肝炎では急性期を経過した後は、遷延化、慢性化に対する対策が必要です。